Beachside Magazine vol.50 「アウトドアクッキング」
ビーチサイド流アウトドアクッキング考
夏が過ぎて、Tシャツを着るようになって、そうしてそのうち長袖を着るようになって、温かい食事が食べたいという考えが頭の中に浮かんでくると、棚の中に置いてあるダッチオーブンが気になりだす。
野菜や肉を丸ごと入れて火にかけるだけで美味い料理ができてしまうのがダッチオーブンの長所。
手間暇かけて下ごしらえして、やれ下茹でだ、やれ湯通しだ、やれ一旦取り出して、というのは、ラクを追及するビーチサイド流アウトドアクッキングとしては、できるだけ避けたい。
塩胡椒をふった素材を炭火で焼く、というような、シンプルでおいしいアウトドアクッキングを紹介しよう。
買出し
肉屋や魚屋や八百屋やスーパーで何を買うか。ポイントは2つ。
安い食材を買う
肉でも魚でも野菜でも果物でもまず値段の安いものを見る。安いものは旬のものである可能性が高い。地元のものである可能性も高い。そして、旬のもの地のものは、だいたい旨い。
地元の食材を買う
同じような値段なら、輸入物や遠くの県のものではなく地のものを選ぶ。地のものの方が、だいたい旨い。
炭火焼
何はともあれまずは炭の直火で焼く。焼けるものならなんでも焼く。肉、魚、貝、イカ、タコなどに塩胡椒をふって焼く。シンプルな料理の原点には本能に訴えかける魅力がある。
多くの人が、アウトドアで「焼肉」をはじめてしまう。薄いカルビ肉を焼いて紙皿によそった焼肉のタレに浸す。風が吹くと紙皿はあっという間に飛んでいって、そこらじゅうがべとべとになってしまう。
上級者はワイルドにブロック肉を焼く。豚でも牛でもヒレでもロースでも安くてでかい肉を串刺しにしてダイナミックに焼く。荒っぽい調理だが味は最高。間違いなく「肉」の味が楽しめる。
炭火料理の基本は炎で焼かないこと。
油の多い食材を焼くときは、団扇であおぎながら炎をおさえる。油や臭みを落としたい食材の調理は炭火の十八番だ。サンマを炭火で焼くと余分な油が落ち、臭みがとれて香ばしく焼ける。
逆に油を落としたくない食材は炭火でやりすぎない方がいい。
ホイル焼
きのこや魚に。バターと醤油と酒をたらすとうまい。
鉄板、じゃなくてフライパン
焼そばをやるためだけに網と鉄板の両方を用意するのは面倒だ。台所で2軍落ちしたフライパンを使った方が、焼き物と炒め物が同時にできていい。
薄くスライスしたさつまいもに塩胡椒をふって炒めると、美味しく健康的な軽食になる。
また、リンゴやバナナのスライスを少しのバターと一緒に炒めるのもいい。
ただ、炒め物はアウトドアクッキングとしては、すこしお洒落すぎる。アウトドアクッキングの主役は何といっても炭火。
芋は焼き芋。バナナも皮ごと焼く。リンゴはダッチオーブンで。
そういうアウトドアらしい料理に飽きて、少し洒落たこともしてみたい、という境地で手を出すのがちょうどいい。
ダッチオーブン
米や野菜を料理するなら鍋がいい。
ダッチオーブンは分厚い鉄でできた鍋で、その無骨さが男心をくすぐる。
ダッチオーブンで手間ヒマかけた凝った料理を作るのは、達人か素人のどちらかだろう。
この鍋の素晴らしさは、手間をかけずに美味い料理ができる点にある。
そこのところをふまえて、いくつかのレシピを紹介する。
レシピ、といっても料理らしい手順はほとんどない。なのにすごく美味い。だからダッチオーブンは素晴らしい。
準備/シーズニング
新品のダッチオーブンを手に入れたら、まず、ワックスと臭いを落とし油を馴染ませる。この作業をシーズニングという。
錆止めのワックスがべったり塗布されている場合、いきなり洗剤で洗ってもキリがないので、まずヘラなどでワックスをこそぎとる
(サーフィンのスクレイパーは使いやすい)。ワックスがあらかた取れたら洗剤であらう(洗剤を使わずいきなり火にかけて焼き切るという方法もあるとかないとか)。
1回目に火にかけるのは屋外の方が良い。家のコンロで火にかけると底についているワックスがポトポト落ちてきて掃除が面倒だ。
ワックスが取れたら臭いを取るために屑野菜を炒める。最後に油をまんべんなく塗布する。
少し高いがシーズニング済の鍋を買えばこれらの作業は不要だ。
料理0. 石焼芋
レシピ:洗った石と芋をダッチオーブンに入れ弱火にかける。
シーズニングをしたとはいえ、ダッチオーブンに多少の臭いが残っているかもしれない。いきなり煮込み料理などをするのは危険だから、まず石焼芋をやってみる。
アウトドアであればわざわざダッチオーブンで石焼芋をやる必要はないが、
キッチンで石焼芋をやりたいということであれば、ダッチオーブンこそ適任だ。
料理1. 鶏とじゃがいもと玉ねぎ
レシピ:鶏腿、じゃがいも、玉ねぎを鍋に入れ塩胡椒して弱火にかける
じゃがいもが主食、玉ねぎがサラダ、そして肉。これがひと鍋でできてしまう。
玉ねぎの皮はむかない。とろとろの玉ねぎが食べたければ玉ねぎだけ先に火にかける。
じゃがいもも皮ごと。鶏ガラスープが染みたのがよければ2等分なり4等分なりにする。
鶏は皮が溶けるので火にかけすぎない。
塩胡椒と同時にドレッシングをかけても美味しいらしい。
料理2. キャベツとペーコン
レシピ:キャベツの丸ごとの上にベーコンをのせて弱火にかける
キャベツを一番美味しく食べる方法。ひと玉くらいわけなく胃袋に収まる。
料理3. ポトフ
レシピ:かぶ、じゃがいも、人参、玉ねぎ等の根菜と少しの水を弱火にかける
味は適当に。コンソメとかが王道なのかな。酒、塩胡椒、醤油、味噌・・なんでもいいが素材の味を殺さないように薄めを心がける。
なんといっても冬の野菜は体が暖まる。寒い日に食べたい一品。
料理4. 米料理
リゾットのレシピ:にんにく、玉ねぎ、魚介、(トマト、きのこ、その他)を炒める。米をいれて透明になるまで炒める。汁を入れ弱火にかける。汁がなくなりアルデンテになったら皿によそってチーズをかける。
米料理は多少手間がかかる中上級者向けの料理。
ダッチオーブンで白米も炊けるしパエリアもできる。
パエリアは米を炒めない。サフラン入りの汁で炊き、網焼きした魚介をのせる。
料理5. その他
蓋の上に炭を置くと鍋がオーブンになる。だからダッチ”オーブン”という。オーブンなのでパンが焼ける。ケーキも焼ける。グラタンもピザもできる。どれもやったことがないが美味いにちがいない。
燻製もできる。燻製はやってみたいレシピのひとつだ。
その他さまざまな料理ができるが面倒なやつはキッチンに任せる。
保管方法
ダッチオーブンはすぐ錆びる。
料理を終えたら、すみやかに汚れを落とし、油をまんべんなく塗布する。中に丸めた新聞紙を入れ、蓋も新聞紙でくるむ。
火にかけ油を塗るの繰り返しで鍋はどんどん黒くなる。黒い鍋はブラックポッドと呼ばれ自慢の種になる。
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上の写真が壁紙になります。
編集後記
今回は第2弾のBBQネタでした。第1弾はこちら。
長い間ビーチサイドマガジンをだしていなかったので夏向けのストックネタを使うことなく秋になってしまいました。その間に何をやっていたかと言いいますと、まず仕事。けっこう真面目に仕事していました。
次にリニューアル。ご覧のとおりビーチサイドマガジンも装いを新たにしました。リニューアルの最大の目的は、気軽に新しいコンテンツをアップできるWEBサイトのベースを作ること。あとカレンダーも作っていますよ。
今年はアナログの写真です。お楽しみに!